日本直販 倒産の原因

日本直販、倒産の原因について、報道されているので紹介。本業不振に加えて、デリバティブの損失を誤魔化しており、泥沼にはまったようだ。

日本直販ホームページより

総通(日本直販)倒産の理由

日本直販の粉飾決算と、原因の一つにデリバティブについて記事を書いたが、ポイントをまとめる。
  • 非上場
  • オーナー経営者に10億円の貸付金
  • 売上高を、過去10年以上水増し
  • 売上高、過大計上は計41億円
  • 銀行20行と取引
  • デリバティブ取引で損失

総通(日本直販)は非上場企業である

日本直販は、非上場企業である。非上場企業であれば、チェックが緩くなる。オーナー経営者への10億円の貸付金が回収できていないと報じられているが、ガバナンスがきちんと働いていなかったのだろう。

売上高の水増し→経常運転資金の水増し

売上高の水増しが指摘されている。この点は、帝国データバンクがくわしい。

『日本直販』 で知られるテレビショッピング業者 帝国データバンク
在庫の増加や回収サイトの長期化に加え、金融機関からの借入に依存する経営体質で資金負担は重く、デリバティブ取引による多額の損失発生などもあったことから収益面も低調に推移していた。
売上高を水増しすれば、多額の運転資金の借入の説明もしやすくなる。仕組みは下記。

(+ 増加)所要経常運転資金=月商×回収サイト(売掛金)
(+ 増加)所要経常運転資金=月商×回収サイト(受取手形)
(+ 増加)所要経常運転資金=月商×棚卸資産(1ヶ月分)

(-)所要経常運転資金=月商×支払サイト(買掛金)
(-)所要経常運転資金=月商×支払サイト(支払手形)

つまり、本来であれば回収サイトの長期化・在庫の増加で、運転資金の借入れが必要だったものを、売上高の水増しで、ごまかした可能性がある。

銀行 20行と取引の理由とデリバティブ

1.決算書の作り分けの可能性

総通(日本直販)は、非上場企業である。そのため、管理人の推測であるが、銀行ごとに試算表や決算書を作り分けている可能性がある。これは、今後、明らかになるであろう。

2.デリバティブの損失を知らない銀行から借入れの可能性

2つ目は、管理人の推測であるが、デリバティブの損失が発生していない銀行からの借入れの可能性だ。デリバティブは、そもそも損失が把握しにくい上に、総通(日本直販)は、非上場企業である。デリバティブ取引を行っていた銀行以外は、把握しにくかったのではないだろうか。

リスケを要請するも、粉飾決算発覚

帝国データバンクの公開資料を見てみよう。
そうしたなか、今年6月に取引金融機関に元本猶予など返済スケジュールの変更を要請するとともに、監査法人による財務デューデリジェンスを行ったところ、架空在庫や利益の水増しなど過年度の粉飾決算が発覚し、80億円を超える債務超過に転落。
総通(日本直販)は、リスケを行ったようだが、デューデリで、粉飾決算が発覚したようだ。当然ながら、この時点で、金融機関の心象が悪化したことも容易に想像がつく。
金融機関から返済猶予期間延期の対応を受けながら、リストラによる収益回復を企図し、再建の道を模索したものの、ここに来て決済資金の調達が困難となったことから法的整理による再建を図ることになった。 
それでも、総通(日本直販)のリスケ要請に、金融機関は応じたようだ。決済資金の調達が困難と記載されており、経常運転資金の調達ができなかったことが分かる。管理人の推測だが、オーナーから、10億円回収していれば結果も変わっていたであろうが、個人資産は差し押さえられていたのだろうか?

日本直販の倒産の原因を見ると、経営環境の悪化を粉飾決算で誤魔化し続けた事だ。その一方で、オーナーからの10億円やデリバティブの損失は不透明である。続報を注視したい。

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